2010年に観た映画をまとめてみました。

一人暮らしを始めて身軽になったためか、映画館に行くことが多くなった一年でした。せっかくなので思い出せる限りで感想を色々書いてみます。

パコと魔法の絵本

パコと魔法の絵本 [DVD]

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TVで視聴。久方ぶりに心からじーんときてしまった映画。本編のイメージとして描かれるフルCGアニメだけでも単品で充分なクオリティなのに、それが実際の患者達の演劇と交互に挟まれることで、パコのために絵空事を現実にしようとする、大人達の奮闘ぶりが伝わってきます。子供が楽しめる賑やかさと、大人が楽しめる人間模様を併せ持った、現代のファンタジーに相応しい作品でした。

第9地区

第9地区 [DVD]

第9地区 [DVD]

事前情報も何もなく、映画館の看板のセンスだけで見にいったところもの凄い大当たりでした。意味がぶれることもお構いなしに一言で言ってしまうと、エンターティメントとして成功したクローバーフィールド。序盤は実際にあったことのように記録映像の切り貼りで画面を構成しつつ、話が進むにつれ糞野郎な主人公に段々と主観が定まり始め、やがて腐った世界をぶっつぶすために奔走する、種族を超えた痛快な冒険へと変わっていきます。
現代の地球に難民化した宇宙人を放り込んだらどうなるか、という設定だけでもう勝ってるような映画ですが、単純娯楽映画としてもかなり面白い作品です。メカもかっこいい。おすすめ。

告白

告白 【DVD特別価格版】 [DVD]

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原作より先に見にいきました。目が痛くなるような色彩と派手な演出で知られる監督の作品ですが、今回は題材が題材だけあって、逆に極端に色調が乏しく、意識して暗い画面構成にしてあったかな。しかし、要所要所での豪華絢爛な演出は健在です。推理モノとしての成分は割と序盤で終わってしまうので、それを期待した人は途中でがっかりしてしまうかもしれないけど、そこからがこの映画の本番なので、どうか最後まで目を伏せずに観てもらいたい!エゴとか心の闇とか、やかましい理屈を軽くぶっとばした、人間のド黒さをじっくり味わえます。ストーリー、キャスト、スタッフの悪意を感じられる傑作です。

トイ・ストーリー

トイ・ストーリー3 [DVD]

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人気アニメシリーズの最終作。1,2のエンディングでハッピーを迎えつつも棚に上げられていた「子供が成長しきってしまったら」という、おもちゃの命題とも言えるテーマに正面から取り組んでいます。トイ・ストーリーといえば脱出劇が見所だけど、1,2が人間の単なる生活空間だったのに対し、今回はおもちゃ達自身が監獄化した保育施設からの脱出。おもちゃのことをよく知る者が作り上げた空間からは並大抵では潜り抜けられず、ウッディ達はそれまでとは比較にならない知恵を結集した計算尽くの脱出劇を展開。んだもんで、かなり見応えのあるシーンになっていました。最終的な結末も、子供の成長という現実から逃げない、しっかりとした回答を出したモノになっていたと思います。難しいテーマから逃げずに、果敢に終止符を打ってくれたスタッフに敬礼です。

借りぐらしのアリエッティ

借りぐらしのアリエッティ [DVD]

借りぐらしのアリエッティ [DVD]

おなじみジブリの最新作。今回は宮崎駿さんの弟子の方の監督作品ですが、話によると宮崎さんは脚本だけに徹し、映画の演出自体には一切口を出さなかったらしく。そのためか良い意味で宮崎駿臭がしないというか、自由に作られているような印象を受けました。世界観やストーリー自体はさすがのジブリというか、魅力的で楽しく観ていたのだけど、やはり舞台も尺もかなりミニマムで、ポニョを観たとき同じような物足りなさを感じました。原作自体はあのあともずっと巻を重ねているだけに、もう少し先の話までやってほしかったなぁ…あの家の話はあれで収まりが良かったのだとは思うのですが。アリエッティは洗濯ばさみを使わない方が可愛いと思いました。まる。

踊る大捜査線

劇場版1,2は観てます。TVシリーズやSPも観ていない、ファンからすれば怒られそうな手合いで見にいきましたが、やっぱり超一級のエンターティメントだなぁと感服。エキストラを含め、あれだけの人間を思うとおりに動かして、大きな話小さな話を同時進行で進めて一つの流れを作れるのだから、映画監督はやっぱすごい仕事だなぁと当たり前のことを再確認。今回の犯人の目的が、青島刑事が捕まえた犯人の解放を要求ってんで、オーシャンズ12みたいに、ザコ大物含め今までの犯人がバックライトを浴びながら勢揃いする場面を期待していたのですが、実際には何人かの登場にとどまりかなり残念。誰かイメージ映像化しているひといないかなぁ…。

アイアンマン

DVDで視聴。とりあえずバトルバトル、そのまたバトルが男の心をくすぐりすぎるので、それだけでもう充分お腹一杯。自分が開発した戦争の兵器を撲滅するために戦う、という構図もハリウッドらしいというか、単純な論理だなぁとちょっとつっこみたいところもあるのですが、まぁ普通に面白いので深くは言うまい。装着時のカシャンカシャンという微妙な動きがたまらん。

シュレック

シュレック3 スペシャル・エディション [DVD]

シュレック3 スペシャル・エディション [DVD]

TVで視聴。人気シリーズの第3弾。いつのまにやら王位継承の候補者にまでなってしまっているシュレックですが、ここまで持ち上げられても図に乗ることなく、いつまでたっても人々に忌み嫌われる怪物の劣等感を持ち続けていることに、逆に好感を覚えたり。おとぎ話の悪者の総攻撃、という月光条例的な展開に心が熱くなりつつ、夢をかなえるためには、というよくあるテーマに不意打ちを与えるような回答を出していて、ほうと感心したりしました。まぁ、住民達の理解が早すぎるのはちょっとあれだったけど、まぁ一応子供向け映画だしね! しかしドラゴンは美人さんだなぁお子さん可愛いぺろぺろしたい。あとお姫様同盟の異能バトルがかっちょよすぎた。

REDLINE

全編作画10万枚以上、その上一枚一枚手抜き一切無しで、隅々まで書き込まれた、アニメーターの血と汗の結晶とも言えるアニメ映画。宇宙を舞台にした破天荒な超速カーレース『REDLINE』に挑む、シャイなリーゼント男JPの活躍と恋のお話…と、ストーリー自体はよくある典型的な内容。けれど異常とも言える疾走感溢れまくりの映像によって、頭からしっぽまで引きずりまわらせられます。規律に縛られない自由な野郎共のバトルがとにかく痛快。頭空っぽにしてたのしめる超娯楽映画です。

大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

DVDで視聴。TVシリーズとは違う方向を模索し始めた、ウルトラシリーズの劇場版。配給がワーナーになっているだけあって、ウルトラマンで在りつつもハリウッド映画っぽい絵になっていてなんだか不思議な感覚になりました。今までのほぼすべてのウルトラマンが勢揃い&100体以上の怪獣の出現、それら大多数で繰り広げられるバトルロワイヤルによって、お祭り騒ぎ感覚で観られる、賑やかな映画になっていたと思います。惜しむらくは、最後の最後に出現する強敵との戦いが割とあっさり終わってしまったことでしょうか…。全ウルトラマンが出現しての合体光線技とかやってほしかったなぁ…。

ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国

上記映画の続編。新たなウルトラ戦士:ウルトラマンゼロと宿敵ベリアルとの対決が、別次元の宇宙を舞台に壮大なスケールで描かれます。ミラーマン、ファイアーマン、ジャンボーグAといった、往年の円谷作品をオマージュした新たなヒーロー達が多数登場するのも見所ですが、個人的に印象に残ったのは、作品の中で描かれた宇宙観。丁寧に作り込まれたCGで表現された宇宙は、海外の宇宙モノ映画と比べても遜色ない、美麗なビジュアルに仕上がっていたと思います。完全な国産映画で、これほどのスペースオペラを作り上げられたのは、ウルトラマンを抜きにしても、邦画のワンシーンとして重要な事件になるんじゃないかと思います。
2時間も満たない時間で、濃密なストーリーをよくまとめているのですが、できればあと30分ほど時間があればなぁ…と思ったりしました。あとは前作、今作と観て、映画シリーズだとどうしても王道な話になって、TVシリーズのようなバラエティに富んだエピソードを作れないのが欠点かなぁ…と感じたり。
あのウルトラマンが満を持して登場してくれたことは、ファンとして嬉しい演出でした。