週刊少年ジャンプ2013年9号

暗殺教室

割と遅かった『殺せんせーに乗せてもらう』イベント。能力のすべてを駆使していたれりつくせりに生徒をサポートしてあげるせんせーは本当によく出来た理想の教師。人間でこれだけのスペックの先生を描くと、逆に違和感があってまっすぐに読めないだろうが、クリーチャーなキャラクタにそれをやらせることで、こうもすとんと納得できるわけで、松井先生はひねくれを武器にまっすぐなモノを描くのがほんとうに上手い。

映画のベタ展開に感涙していた、というのが、次回以降の第二の暗殺者と殺せんせーの関係に関わってくるのだろうか。

新米婦警キルコさん

ファンタジー色を強めにしたギャグ回。どうも作者さんの作風として、キルコさんの元傭兵という過去のディティールを細かくした上での、日常とのギャップを狙った笑いというのは描けないようなので、単純に『常識のない強キャラ』としてキルコさんを暴れさせる、そのために世界観の枠を広げるという意味では方針転換として正解かもしれない。そんなわけでギャグとしては今までで一番おもしろかった。

しかし、例えば「リアルに怖い爺さんの霊」がそんなに怖く見えなかったり、エロ本を表現する言葉が本当に「エロ本」しかなくてゲシュタルト崩壊していたりと、細部を詰めない作風がここでもいくつか枷になっているとは思った。銀魂ならこのシチュエーションで5,6個は細かいネタをプラスして来るだろう。

とは言え、先輩の知将としての面が再び発揮されたり、キャラクタの掘り下げになっていたのは良かったと思う。個人的にはキルコさんの乳もまれが見れただけでも大満足なんですけどね。

めだかボックス

いよいよ完結なのだろうか。西尾さんのことだからいつもの「と見せかけまして」な可能性もなくはないけど、タイミング的にほんとに〆に入ってるのかもしれない。初期メンバーの伏せられていた背景はほぼ開示したわけだし、RPGで例えるならソフトを叩き割るプレイヤーのような、獅子目言彦という埒外の敵を出してしまった以上、これより上のインフレはもう起こらないだろう。たぶん。

「何がどう」自分に働きかけてそうなったのかはよくわからないのだけれど、此処にいたって、初めてめだかのことを、ちょっとかわいいかも、と思えた。今までは如何に友達を作ろうと、ギャグに走ろうと、皆のために戦おうと、作品の真ん中にある舞台装置としてのキャラクタにしか見えなくて、彼女が主人公として立ち向かうたびに、座りの悪さを感じてしまって仕方がなかった。しかし今回の語り、そして笑顔は「ああ、コイツが主人公で良かったのかもなぁ」と思わせる何かがあった気がする。「怪物ではなく人間として死にたい」という言葉に直接感化されたわけではない…はずなんだけども。

こうして見ると、西尾さんがこう読ませたい、というプランにあまりに私はすぽっとはまっているように見える。改めて私のような、ひねくれてるようで実際単純な人間が、想定する読者として一番やりやすいのかもなぁと思った。