『anime95.2』 春原ロビンソン

アニメ95.2

アニメ95.2

アニメ業界は毎日が文化祭なんです。

日本が誇る文化・アニメーション。子供の頃から慣れ親しみ、大人になった後も人々を魅了し続けるこの世界は同時に、制作側にとってはかなり厳しい業界であることも噂されている。
昼も夜も関係ない勤務体制。身近すぎる声優さん。今だから笑える修羅場の数々…。
元業界人が語る悲喜こもごものアニメの日常とは、果たして如何なる毎日だったのか?
稀代の病人・春原ロビンソンが愛とトラウマをこめて描く、スーパーエッセイコミック!


ニコニコでおなじみの動画制作者・春原ロビンソン氏の、記念すべき商業単著第一作。
以前から、なごみ文庫において挿絵やアンソロジー小説などで参加してきた春原氏ですが、このたびハーベスト出版の漫画単行本第一号として、ついに単行本デビュー。以前から動画を楽しんでみさせて頂いていた人間として、実に感慨深いものがありますねー。
個人的には、アニメの仕事には、子供の頃からの憧れもある反面、かなり破天荒で厳しい、アウトローな業界でもあると聞いていて、自分の中で二面性のある世界でした。が、そんな風に光と影のある認識だったアニメ業界を、「毎日が文化祭」という言い方で表現していたのはとても上手く、最後になって目から鱗が落ちた気がします。
内容自体も、日記や同人誌などで断片的に語ってこられていた、アニメ業界の日常をまとめて読むことが出来て、面白かったです。動画でおなじみの春原さん独特のテンポも、漫画上で忠実に再現されていて、ファンとして楽しく読むことが出来ました。買って二、三日は、内容をわかりきっているのに、ふっとまた手に取ってしまったり…相変わらずの中毒性も抜群でした。
と、そんな風に大変楽しく読むことが出来たのですが……ひとつ気になったのとしては、ニコニコやネットで、春原さんをまず知っていないと、やや伝わりにくいかな、というところ。これは、ハーベスト出版の書籍で、同人やweb上で活動されているクリエイターを起用するとき全般に言えることだと思うのですが、新規読者に対して、すこしフォローが甘いかな、と。『ひぐらし。』の話を出すと、あれはニコニコでの動画内容を知っておかないと楽しみがいが薄くなる作品だと思いますし。今回のanime95.2もそうで、単純に「アニメ業界の日常が知りたい!」という人よりかは「春原さんの作品が好きだ!」という読者に向いた雰囲気になっていたかなー。他書籍に比べると新規読者も手に取りやすくはなってると思いましたけど。他の方の感想を見るに、春原さんを知っている人と知らない人とでは、感想の傾向がやはり分かれていたように思います。改善できるところなのかはわかりませんが、二巻がでるならこの辺もちょっと期待したいです。
いや、しかし、タイトルの由来には笑わせてもらいましたw ニコ生で質問してもスルーだったのはこういうわけが…漫画でも変わらぬ春原節、堪能させて頂きました。ごちそうさまでした。