ブック・オブ・ザ・イヤー・オブ・ゲンキュー2009〜小説編〜


空っぽの知識の西織さんが毎年やってる奴の、ぶっちゃけパクリ企画です!
2009年に読んだ本の中から面白かったモノを10冊セレクトしてお送りします。
忙しかった関係で2月末まで食い込んでしまいましたが、西織さんにバレないうちに、こっそりやりたいと思います…!
では、いっきまーす!(ぷよぷよ風)


第10位



空ろの箱と零のマリア


空ろの箱と零のマリア (電撃文庫)

空ろの箱と零のマリア (電撃文庫)

3年ぶりの御影瑛路さんの最新刊。かつて、暗黒まみれの世界観とミステリ臭、人間の感情をガジェットにしてしまう構成の妙にGen9をどっぷり骨抜きにしてくれた電撃作家さんでした。年月が経っても、それらの要素は何も変わりなく楽しめましたが、ちょっとばかり温もりを持って帰ってきてくれたのはとても嬉しいことでした。また私を骨抜きにしてください。



第9位


クリスマス・テロル


クリスマス・テロル<invisible×inventor> (講談社文庫)

クリスマス・テロル (講談社文庫)

佐藤友哉の魅力にしてやられた当時のGen9を本気で泣かせた問題作中の問題作。最近は評価も覆ってファンも増えたけど、昔はこんなの書いてしまうほど本気で追いつめられてたんだぜ? そしてこれにゴーを出した太田さんの決断も相当なものだったと思います。文庫版には佐藤友哉自身による解説も付いていてお買い得。自分の作品と評価を淡々と解説していく…と思いきや、最後にやらかしてくれます。日和はしたかもしれないけど、まだまだ怒りの矛を収める気はさらさらない。傍若無人佐藤友哉の銃撃、これからも応援しております。



第8位


探偵儀式 the novel メフィスト症事件


JDCの枠を借りて、大塚英志がミステリ、ライトノベルといった作品群の批評を物語として進めてきた『探偵儀式』。非常にメッセージ性も強く、作者の清涼院流水に対しても多くのことを突きつけた作品であったのですが、この小説版は、それらの多くの批評に対する流水さんの、ひとつの回答となっています。流水大説は根幹となるテーマこそはっきりしているものの、様々な要素を盛り込んで形作られるカオスな作品群なので、流水さん自身の明確な意思が判然としないことが多いのですが、このthe novelは終章の「彼」の独白が、そのまま流水自身の意見となっていると思います。薄いながらもかつての大説の要素が盛りだくさんでサービス精神にも溢れているので、流水好きなら迷うことなく手にとって欲しい一冊です



第7位


白の断章


白の断章 (講談社BOX)

白の断章 (講談社BOX)

初の流水大賞を受賞した作品。最近、最後の流水大賞を受賞した作品も読んだのですけど、やはり優秀賞やあしたの賞の作品に対して、存在する次元をひとつふたつ間違えてしまったような印象があります。それが良い方向なのか悪い方向なのか、文芸を変えてしまうのか、それとも小説自体を変えてしまうのか、はたまた何も変わりはしないのか、それはこれからの歴史が決めていくことだとは思いますが。この白の断章は、暗黒で甘い世界観と、血と汗ほとばしるサッカーモノ、それにミステリと伝奇を加えてがっちりと青春小説として成立させてあります。それも計算尽く。鬼子と呼ばれるに相応しい一冊です。

第6位


難民探偵


難民探偵 (100周年書き下ろし)

難民探偵 (100周年書き下ろし)

西尾維新の次のステージを感じさせる小説。デビュー作こそミステリだったものの、キャラクタ小説、伝奇小説で人気を獲得した西尾さんの、おそらくは30代から書きたいと語る作品群は、このようなカタチになるのでしょう。化物語刀語も勿論大好きなのですけど、そこから入った読者の方には、この難民探偵や、きみぼくと言った尖った作品があることも知って欲しいところ。余談になりますけど、西尾作品は、人気のある作品と相反するような尖った作品が対になって存在しているのが面白いと思います。「不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界」は最高のアンチ西尾小説だと最近思い始めた。



第5位


ゲンソウ現実日和


ゲンソウ現実日和 (講談社BOX)

ゲンソウ現実日和 (講談社BOX)

ノンフィクシリーズの3冊目となる作品。1,2巻から飛躍的に筆力が向上していて、最初から最後まで息つくことなく読ませて頂きました。くうそうノンフィク日和を貶した人にこそ読んで欲しいですね。素晴らしいです。



第4位


吐田君に言わせるとこの世界は


吐田君に言わせるとこの世界は

吐田君に言わせるとこの世界は

デジタルの世界で人生の大半を生き、ひらきこもりを提唱した渡辺さんが、自分の死の可能性を通して更にその先へと着地した。そんな印象を抱かせる、目映いばかりの再生の物語。これを読むと、K-cafeで彼のコーヒーが呑みたくなります



第3位


デンデラ


デンデラ

デンデラ

佐藤友哉の新境地と言える一冊。彼が自分個人の感情を、ここまで塗り込めずに作った作品はおそらくこれが初でしょう。意見も意義も何もかも違う老婆達が、協力し、対立し、策謀しながら、飢えや天敵に抗っていく、その力強さに圧倒されます。ここからユヤタンを始めてもいいかもしれないですね。



第2位


四方世界の王


四方世界の王 1 総体という名の60(シュシュ) (講談社BOX)

四方世界の王 1 総体という名の60(シュシュ) (講談社BOX)

作り込まれた古代ギリシアの世界観と、アクの強いキャラクタたちで魅せまくってくれる大河ノベル。4巻で刊行が止まってしまっていますが、続刊を待ち続ける価値のある傑作。



第1位!


とらドラ!


とらドラ10! (電撃文庫)

とらドラ10! (電撃文庫)

笑えて、泣けて。誰もが身に覚えのある、青臭さとがむしゃらさを思い出させてくれる、最高の青春小説。10代のうちにこの作品に出会えて本当に良かった!


以上、小説編でしたー。
受験期間中なこともあり、下半期はあまり読めていないのが残念でした(流水大賞は真っ先に読みたかったんだけど…)
最近読んださよなら彦は近いうちに感想あげれるようにしたいと思います。
あと、漫画編も!