『デュラララ!!×5』 成田良悟

デュラララ!!×5 (電撃文庫)

デュラララ!!×5 (電撃文庫)

「仲良く、共食いしようじゃないか」

殺戮魔の女は国を逃げ出す。己の渇きを癒すために。
家出少女は池袋を彷徨う。池袋最凶の男を追い求めて。
女たらしはひとり企む。ダラーズに復讐を果たすために。
少年は『憧れの先輩』と約束をする。爽やかな笑顔を浮かべながら。
GW。池袋の休日に一人乗り遅れた情報屋が、意趣返しとばかりに行動を開始する。掌の上にいることに気づかないまま、彼の思惑通りに池袋に集まり始める火種達。そんな数々の不確定要素は、池袋の住人達を再び非日常へと引きずり込んでいく。何者かに狙われるダラーズ創始者、刃を向けられる罪歌、恋人の帰りを待ちわびる闇医者、窮地に立たされる池袋最凶、そしてそれら全ての非日常へと巻き込まれていく首なしライダー…。
そんな池袋の非日常は、彼にとっての最高の黄金週間になるのだろうか?


漫画化も決定したシリーズ第5弾。と言うか、奥付を見てびっくりしたのは、丸々一年経っちゃってるんですね前巻から…時が流れるのは早いというか…。
4巻時点で既に多くのキャラクタが新規参入したので、二期メンバーはこいつらで打ち止めかなーと思っていたのですが、この巻でも初登場となる新キャラがけっこういたりします。と言うか、4巻新規参戦メンバーは、ほとんどスポットが当たっていなかったり…; レギュラーメンバーも影が薄いやつ大勢居るのに、このまま増えていって飽和状態にならないだろうかと、ちょっと心配にもなってる今日この頃です。
話の内容は、前後編の前編で、最終ページでようやく騒ぎの下準備が整った、という感じでしょうか。ダラーズの存在意義が危うくなったり、シズちゃんが割と大ピンチに追い込まれたりと、シリーズの不文律が揺らぎに揺らいだところで、無情にも次巻へ続く!今までの傾向から考えると、色んな人があちゃこちゃ動き回る内に、どうにかうやむやに決着が付くとは思うのですが…はてさて、どうなることやら。そしてあのエロイ双子に出番はあるのか。気になりまくるところです。
さて、この巻の見所…。巻を重ねるごとに『実は凄い人説』がガンガン浮上してるトムさんの地味な活躍も見てて楽しかったのですが……なんと言っても一番と言えば、終盤の平和島静雄、それもイラスト、これにつきるでしょう。
ヤスダスズヒトさんが神懸かり的に描破しきった、一瞬の光景。あまりの凄さに、このページを目撃したとき、自分なんかは、素で口に出して呟いてしまいましたもの。
「あ、終わった」と。
新羅氏が「世界を滅ぼす魔神が誕生したかのような錯覚」を覚えるほどの、その表情。お行儀悪くぱらぱらめくって確認するのはお控え頂き、ぜひともじっくり物語を堪能した上で、その恐怖の瞬間を目撃することをオススメいたします。