『Story Seller』 伊坂幸太郎 近藤史恵 有川浩 佐藤友哉 本田孝好 道尾秀介 米澤穂信

Story Seller (新潮文庫)

Story Seller (新潮文庫)

面白いお話、売ります。


あまり見たことのない顔ぶれが競演しているアンソロジーの文庫化。ムック時のときは、なんとなく手が出せなかったのですが、この度丸ごと文庫本になったそうなので、読んでみました。
全般の感想としては、総じて完成度の高い作品が揃ったアンソロジーになっていたと思います。どの短篇も、一定の水準を満たしたモノばかりで、外れがまったくない。どの作家も一度は名を聞いたことのある方ばかりなので、当然と言えば当然かも知れませんが、一つ一つの読み応えも確かな一冊になっていました。

首折り男の周辺 伊坂幸太郎

ミステリっぽいような、サスペンスっぽいような。いつも通りの伊坂小説。3人の視点から、互い違いに語られていく群像劇。最後のセリフもスマートでカッチョイイなー。

プロトンの中の孤独 近藤史恵

自転車小説。この作品は、サクリファイスのスピンオフなのかな。

ストーリー・セラー 有川浩

モノカキ志望として、色々と心に沁みる物語でした。いつものようなベタ甘じゃないのがまた切ない…。ザックザクと身を切り刻まれた感じ。名作でした。

玉野五十鈴の誉れ 米澤穂信

百合的な展開を期待した自分はもう末期だなと思った。読みやすく、しっとりとした雰囲気。小市民シリーズもちゃんと読みたいんだけどなぁ…。

333のテッペン 佐藤友哉

ミステリ。なんだけど、いわゆる『日常の中の非日常』をネタにしまくっているのが面白かったです。やはりこの斜に構えた感じ、いいなぁ。

光の箱 道尾秀介

魅力的な青春モノであり、ミステリ的な要素もあり。どんでん返しも用意周到。読後感も爽快で素晴らしかったです。

ここじゃない場所 本田孝好

テーマが佐藤さんと逆ベクトルでド被りで、ちょっと笑ってしまいましたw 面白かったのですが、主人公がどうにも好きになれない…。根拠のない妄想を信じ切って、誤解がわかってもそれを謝罪もしないで!ちょっと本気で頭にきてしまった。