『シノキ大戦』 小柳粒男

パンドラ Vol.2 SIDE-A

パンドラ Vol.2 SIDE-A

なんとも、キモティかった。

神大戦。それは、銀河の生誕を祝う、全銀河参加の一大トーナメント。
各々の銀河を代表し、すべての神々が殺し合いを繰り広げる、桁外れのこのお祭り騒ぎに、銀河2501──太陽系も当然のごとく、参加することとなった。が、しかし神大戦委員長直々の任命にもかかわらず、地球に所属する数多の神々──ブッダ、そしてイエスものらりくらりと参加を拒否。しびれを切らした委員長は、戦いの事情などまったく知らないであろう最も新しい神を、無理矢理連れてくるよう命令する。名簿の新しいページに登録されていたその神の名は、若干17歳の造化神・女神シノキ。
そして委員長はまだ知らない。彼女が、女神が、魔女が、篠木が、その日、何よりも、何よりも、『急いでいた』ということを…!


小柳さんの短編小説。
例によって『ノンフィクシリーズ』の一部となりますので、本編を読んでおいた方がいいかもしれやせん。
シリーズ本編において、最強の存在として君臨している篠木ですが、彼女の本気の本気はそんなちゃちなもんじゃないんだぜという話。
本編で描かれているのが街規模の小戦争くらいなものなのに、番外編であるこっちでは銀河大戦ということで、思わぬところから一気に物語世界が広がった感じがします。
文章も以前より読みやすくなっていて、くうそう・りべんじゃーを読んだときのような露骨な読みにくさを感じることはなくなりました。とは言え、なんかそれはそれで寂しい気も…。徐々に読みにくさが感じなくなるくらい面白くなっていくのが醍醐味なのにーとも思ったり。
ていうか、これ下手するとスラップスティック・コメディになっちゃうよなぁ…(笑)。小柳さん自身もそんなテンションで書いたのかも知れないけど。いやま、普通に面白かったんですけどね。しかしあの最終技はいいのか、とかそんな感じです。