『とらドラ6!』 竹宮ゆゆこ

とらドラ! (6) (電撃文庫 た 20-9)

とらドラ! (6) (電撃文庫 た 20-9)

みんな、ガキだったのだ。バカかバカでないかは問題ではなく、とにかくみんなガキでしかなかった。進む道を思い通りにできなくて、泣き喚くガキしかいなかったのだ。最初から。

文化祭が終わり、秋も深まる今日この頃。どことなく、実乃梨と距離が近づいているような気のしている竜児。そして生徒たちから北村とデキていると噂される大河。嵐の文化祭の後、虎竜二人の恋模様もそれなりに進展しているようで、二人ともまんざらではない日々を送っていた。
しかし、生徒会総選挙が迫るある日のこと。文化祭終了が原因で燃え尽きたと思われていた北村が……突如、グレた。
会長候補筆頭だった優等生の不可解な行動に、困惑する生徒たち。彼を突き放すような態度をとる現生徒会長・狩野すみれと、やたらと攻撃的に当たる亜美。北村の身を案じる大河と竜児は、彼を立ち直らせようと、あの手この手で奮戦するが…。
そして白日の下に晒される、彼を突き動かした一つの原因。そのすべてを知ったとき、手乗りタイガーがとる選択とは?


自分はスピンオフを未読で、狩野すみれにまつわるこもごもはまだよく知らないので、彼女の本音に至るまでの流れには意表を突かれてしまったのですが。何というか、この作品世界には、わかりやすい『最強』キャラなど一人もいないんだなー…というのを、しみじみと実感してしまいました。てか、当たり前ですよね。人間ですもん。子供ですもん。脆いですもん。
今回の巻で自分が受けた印象は少々特殊で、徹頭徹尾、北村に対して延々『共感』していたような気がします。いや、グレた経験があるわけじゃないんですが…。彼の行動が、『甘い』考え方が、すごくよくわかってしまったんですねぇ…。自分でもよくよくわかってる、何の解決にもなりゃーしない、ほんとはこんなことしたかない、でも動かずにはいられない、とか。…青春ですね。痛くて痛い、痛々しい。
正直、自分の中での純粋な楽しさ?はシリーズ史上最も低かったのですが、同時に、これは五つ星をつけなきゃいけない!とかなり早い段階で決意した作品でもありました。楽しいだけのステレオタイプなそれじゃない、痛くて恥ずかしい、キズだらけの青春がこの作品にはありました。色んな意味で、おすすめ。みんな、読んでね。


ほぼさんによる、各キャラのそれぞれの動きの考察。7が出ているので、既に判明していることもあるのですが、実にわかりやすく、各々の微妙な揺れ動きをまとめてくださっています。必見。
とらドラ6! いつも感想中


そして、遂に名称が『独身』で固定されてしまった独身(30)…。とうとう本名までもが不明な存在に。もうやめてあげて竹宮先生!彼女のライフはとっくに0よ!ていうか、あなた自身のライフもとっくに0よ!!自分自身をこれ以上切り刻まないで!!