『とらドラ7!』 竹宮ゆゆこ

とらドラ!〈7〉 (電撃文庫)

とらドラ!〈7〉 (電撃文庫)

「直る」

クリスマスも近づく冬休み直前の寒い日々。
「クリスマス大好きっこ」であることを暴露した大河は、サンタさんに見てもらうため、今までの獰猛な本性を封印、クリスマスの日まで徹底的な「いい子」モードを貫くことを宣言する。更に学校では生徒会の主催による盛大なクリスマスパーティが催されることも決まり…生徒たちは試験と準備の両立に追われつつも、来る聖夜に向けて否がおうにでもテンションが高まっていく。いつもは周りから畏怖される大河も、「いい子」モードに切り替わっていることもあって、自然に他の生徒たちの中に溶け込めているように思われたのだが…。
部活でミスを連発したことでふさぎこみ、ぎこちない態度をとり続ける実乃梨。竜児に対して今までのそれとも違う、謎めいた言動を呟く亜美。そして自分の心を揺るがす、ある事実に気づく大河。
それぞれの思惑を乗せ、遂にやってくるイヴの夜。それはすべての人々が微笑むことのできる、すばらしい一夜となるのだろうか…。


定番クリスマス編。夏の真っ盛りに読んだせいで自分の中の季節感がめちゃめちゃです。でもそんなことはどーでもいい!
と言うわけで、シリーズ第7弾です。
今回は動きます。動きまくりです。とはいっても、目ではっきり見えるわけじゃなくて、水面下でざわざわ動いてる感じです。
みのりんが追い詰められ、竜児は自分で自分のことがわからず動揺して、亜美は周りのどうにもならなさに苛々して、大河は自分に対する決定的な事実を知ってしまって…。北村くんがちょっと今回蚊帳の外な感じなのが気にかかりますが、とにかく全員が全員色んなモノに刺激され、慌てて、嘆いて、奮起して…と本当にせわしがないです。もう単純にニヤニヤとか言ってられねー!良い意味で悪い意味で、もう突き抜けるような青春具合です。甘くて恥ずかしくて辛くて痛くて……今現在ライトノベルの界隈において、この作品以上に『青春』を書いてる作品が他にあるでしょうか。
いやもう、なんつーか、ラノベスキーな枯れた大人*1だけに読ませておくのはMOTTAINAI!ですよ。中学生とか高校生とか、思春期真っ盛りな少年少女にこそ、この小説を読んで欲しい。この作品が単なる一人気ラノベ、という評価で落ち着いてしまうのは惜しすぎる。今現在、これ以上に、読んでる人の頭をぶち抜いてくれる青春小説って、きっとないですから。……だーかーらー、全国津々浦々の青春直撃してる皆さん!オタク気質だろうが一般ぴぃぽぅだろうが、んなことどーでもいーから、とにかく読め!まずは読め!!いいから読めえええええい!!!


…しかしさぁ、独…じゃなかった恋ヶ窪先生(30)の扱いはもう少しどうにかならないんですか…w なんか読んでると、何故にそこまで報われないのか、すごくすごく哀れんでしまうんですよ…。ちゃんと読むと、割と生徒のことも気にかけてる良い人なのに…。大河・竜児らの行方もちろん気になるんですが、彼女がこれからどうなってしまうのか、そっちのほうもまったく別方向に気になっている次第なんですなぁ。

*1:自分のことですが