『クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識』 西尾維新

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)

俺の世界は最高だ。

5月、鴉の濡れ場島から無事京都に帰還した「いーちゃん」は、古都を騒がせる連続殺人鬼・零崎人識と運命的な邂逅を果たす。傍観者と殺人鬼。まるで共通点のない正反対な二人だったが、同時に自分そのもののようにも思えた。それはまるで、鏡の向こう側にいる、もう一人の自分のようだった。
そして人識と接近を重ねる一方、いーちゃんはひょんなことから、ほとんど記憶に残っていなかった、4人のクラスメイトとも交流を果たすことになる。そう、それは学食にて。葵井巫女子という名の女の子から、「友達」の誕生日パーティに誘われたのがキッカケだった…。


文庫版、読了。
自分は、戯言シリーズすべて読んでいるのですが、何故か手元には「クビシメロマンチスト」および「ネコソギラジカル(中)」が無かったりします。これは、クビシメまでは図書館で借りて読んでいたのだけど、途中から「これは買わにゃーならん類の本だ」と思い、クビツリ以降の作品を一気買いしたはいいのだけれど、何故か書店にネコソギ(中)だけがなかったのでソレはとりあえず保留することに、そんであっという間にネコソギ(上)まで行っちゃったからしょうがないから図書館にまたお世話になるかーということで最終巻まですべて読了、それからしばらくして、そろそろスキマになってる部分も買ったほうがいいかなーと思っていたら古本屋にクビキリがお手ごろ値段で売ってあってラッキーと相成り現在、みたいな。そんなわけで、わが本棚に戯言シリーズを並べると、不規則に二冊だけ背が低くなってしまって*1まことに見栄えが悪いのですが、まぁ仕方が無い。そのうち文庫版全買いすると思うし。
そんなわけで。
確か読んだのが二、三年前だったので、けっこう覚えてるかなーと思っていたんですが、読み始めてビックリ、すっかりストーリーを忘却していました。というか、ミステリ的な部分しか記憶に残っていなかったみたいです。自分は自他共に認める忘れん坊*2ですが、まさかここまで覚えていなかったとは…。ほとんど忘れてるくせに、よく好きな小説何?と訊かれた時に、『戯言』を挙げられるモンだな、と自分に少々呆れました。
で、感想ですが。
なんだこの欝小説は。
……いや、本当に。
他の戯言既刊も、まぁ相応に暗かったり昏かったり、お世辞にも天真爛漫とは程遠い内容ではあると思いますが、どれも最終的には……割とすっきりした読後感だったような、気がします*3。けれど、『クビシメロマンチスト』は、違います。なにしろ、はっきりBAD ENDと銘打たれていますから。当時、これを読んだ自分は、一体どんな感想を持っていたのだろう…ぽこぽこ頭を叩いてみても、「西尾維新スゲー!」という記憶ぐらいしか脳のシワからはたき出されて来ません。あの頃、自分はこれを素直に受け止められるほど病んでいたのか、それともまったく未体験な領域だったからこそ無条件に面白い、と思えたのか……、自分にはちょっと皆目見当もつかないです。
ま、今でも、激烈に面白いという感想は、変わっていないんですけどね。
何というか、たった数年で色々変わっちまうんだなーとか、思いました。自分が。
あと、最近「人間シリーズ」を読んだばかりである自分ですが、先に零崎たちの動向を知っておくと、人識や哀川さんの発言にも、色々と妄想ができて楽しさ倍増でした。…そういえば先日見かけた一橋真さんのサイトでの発言*4をちょいと確認してみたんですが……本当に人識、あんなこと言ってたんですね…。これについては「匂宮出夢との関係」で、なんらかのフォローがあるのかしらん!?
あと、当時わからなかったダイイングメッセージの謎。今回もダメだったのでグーグル先生に訊いてみたところ、氷解しました。
伏線もしっかり打ってあるし、騙された感はありますが…確かにいーちゃんの言うとおり、中心に据えるようなものではない、オマケのようなものかもしれないですね。解った人はもれなく更なる欝にご招待、ですが…。

*1:ネコソギはまだだけど

*2:可愛く言ってみた

*3:はっきり覚えてるわけじゃないけど

*4:サイトの人識×出夢のイラストをご参照ください