『とらドラ3!』 竹宮ゆゆこ

とらドラ〈3!〉 (電撃文庫)

とらドラ〈3!〉 (電撃文庫)

てめえらになにがわかるっていうんだ!?

竜児と亜美のアレな場面を目撃して以来、妙にイライラしている逢坂大河。竜児が謝罪してみても、「なんで私に謝るの」「別に怒ってないし」の一点張り。ぎすぎすしたムードが続く中、彼らの高校に、夏の風物詩(まだ6月だけど)プール開きの日が訪れる。
男子たちが女子の水着姿に浮かれるのもつかの間、何故か大河と亜美が竜児の所有権をめぐって水泳対決をすることに!しかし大見得を切ったものの、実はまったく泳げないカナヅチな大河。ジムで鍛えているという亜美に勝利するために、竜児と共に特訓を開始するが……!


シリーズ第3巻。
2巻から直接話が続いていることもあって、期待値MAXで読み出したんですが。
いや、何というか、もう………すばらしかったです
SFやファンタジーなどのギミックを搭載せず、妙にエロに走りもせず、かと言って萌えで勝負を仕掛けているわけでもない。1巻のときも思ったことですが、ほとんど何の飾りもなく、純粋にキャラクターとストーリーだけでここまで読ませるラブコメがあるとは。自分は少し、小説という媒体を舐めていたようです。読者の目も肥えている昨今、実にシンプルかつストレートな話なのに、ここまで魅せてくれるなんてと、正直感服いたしました。
いやもう何も細かいことは語るまい。未読の方は、ぜひ手に取ることをオススメします。特に、飛び道具な小説を読みすぎて少しダルくなっている方に勧めたい。瑞々しい青春がここにはあります。無駄に奇をてらわなくたって、まだまだ小説はやれるんだぜ?超度級なパワーを感じられること請け合いですよ。
……いやそれにしても、話にほとんど噛んでいないハズの恋ヶ窪先生のこの優遇のされっぷりは一体何なんだ(笑)。竹宮先生の日常の思惑が垣間見えるようです*1

*1:蛇足。今回はどうしてもあのセリフを引用したくてしたくてたまらなかったんですが、ネタバレになるので断念しました。読んだ方ならわかると思いますが、P235のヤツです