私がいなければ、私の世界はない。


キノと名乗る若い旅人が、わたしの国にやってきた。
まだ若い旅人で、黒いジャケットを着ていた。旅の道具は、エルメスと名づけられた喋るモトラドである。
実に28年ぶりとなる旅人の訪問を、国民たちは心から歓迎しているようだった。
そしてわたしは、その旅人を殺すことにした。


電撃文庫ビジュアルノベルと題された、キノの旅の番外編的なシリーズ。黒星さんのカラーイラストが豊富に収録されたハードカバー仕様。分量的にはいいつもの短篇ぐらいなモノなので、絵本を読む感覚でサクサク読み終えられました。
「わたし」の正体については、勘がいい人は序盤辺りで薄々見当がついているだろうけど、読者が気づくことを見越してか、ラストにもう一つひねりをきかせたオチがあって、おおぅと少し感心しました。さすがは時雨沢恵一
イラストは、最初の扉画→P11→P20、の順に好き。
ちなみに、図書館で借りたので、特典である劇場版のDVDは封入されていませんでした。無念。