『世界の中心、針山さん2』 成田良悟

「あ、どうも」

埼玉県所沢市を舞台に繰り広げられる数々の物語。
ひとつは『都市伝説』の物語。とあるタクシーにまつわる、恐怖と奇怪の物語。
ひとつは『雑魚戦闘員』の物語。誰よりも強い力を持った、悪の戦闘員の物語。
ひとつは『ゾンビ』の物語。呪学士と死霊術士と殺し屋の、ゾンビ戦争の物語。
ひとつは『戦隊ヒーロー』の物語。すべてが収束を始める、孤独なヒーローの物語。
ひとつは、ひとつは、ひとつは――。
そしてやはり、これらすべての物語に必ず顔を出す人間がいる。37歳、グラフィックデザイナー。4人家族の長であり、憎めない顔をしたごくごく普通の男・針山真吉。何の能力も無い普通の人なのに、なぜか異常な事件に出くわしてしまう針山さん。これはただの偶然なのか、それとも本当に彼は世界の中心なのか?
短編連作シリーズ第2弾。


電撃hpに掲載された短編をまとめた短編集第2弾。
続けて読みましたが、やはり面白いなぁ。しかし、収束の具合が1巻と比べて少し弱かったかも。『メドレー』ではなく『戦隊ヒーロー』として一人の主人公を置いてしまったのもちょっとな…と思ったり。やっぱり主人公が明確に定められていない状態で様々な人が入り乱れるのが、楽しいんではないかと思う。第3弾はゼヒ、また『メドレー』で終わらせて欲しい。しかし、やっぱりバラバラの物語を一気にまとめる手法は本当に巧いなぁ…。
今回は一つ一つの短編の完成度も前回より向上しているように思いました。一個一個を読むだけでも十分楽しめると思います。
あと、クラリタス。自分が密かに考えていた小説用のネタを先に使われてしまっていて絶望しました。くそ…。