『バウワウ! Two Dog Night』 成田良悟

バウワウ!―Two Dog Night (電撃文庫)

バウワウ!―Two Dog Night (電撃文庫)

越佐大橋。それは、21世紀前半に、新潟と佐渡島の間にかけられた世界一巨大な橋。
完成目前で放置されてしまったその橋の中央にそびえる巨大な人工島は、犯罪者や不法滞在者が棲みつく、かの九龍城さながらの無法地帯と化していた。
そしてある日、その島に二人の男が訪れる。
一人は、髪を虹色に染め上げた重要指名手配犯。
一人は、幼馴染と探検気分でやってきた気弱な少年。
その日以来二人はこの島で、全く別々の道を歩み始める。しかしそれは、さながら鏡に映る己に向かって吼え続ける犬のようで―。
そして、そんな哀れな犬の吼え合いに巻き込まれることになるのは、『クズ』に『探検少女』、そして『陽気なラジオDJ』。
半端な島に集まる半端な奴ら。そんな彼らの行く末にあるものとは?


バッカーノ!』シリーズを読破したので、他の成田作品にも手を出してみました。
なんというか、プロトタイプっぽい小説だな、というのが読了直後の印象。
日本に存在する無法地帯、という世界観はかっちりしているのですが、エピソードがこの小説世界の紹介にとどまっている気がして、そこまでの満足感は無かったです。中盤までは楽しく読めたんですけど…。SFやファンタジー要素が全く無い作品なので、ちょっと地味かなーとも思うし。ちょっと神経質がすぎるのかもしれませんが『鏡に映る己を吼える犬』という言葉が思った以上に多用されていて、少し興ざめな気がしないことも無かったです。
しかし、キャラクタたちは相変わらずトバしてるヤツらばっかりでいいですね。戌井とかケリーとか、一発で好きになりました。
シリーズ一作目にしては小さくまとまりすぎてると思いましたが、世界観自体はメチャ好きです。『バネ足ジョップリン』というまたいい感じなイカレキャラも出てくるみたいだし、次作に期待!
あと、三章と終章の二人(+一人)の対峙シーンのイラストが素晴らしすぎて少し見蕩れました。前々からヤスダスズヒトさんの絵は好きだったんですけど…。ファンになっちゃおうかなー。