『パーフェクト・ワールド What a perfect world! Book.12 Perfect Twelve(完全な十二)』清涼院流水

What a perfect world!

10年前、エースを下半身不随にした交通事故。そこには、エースの『運命』を定める最後の秘密が隠されていた。
真実を知り、自分の運命に覚醒したエース。救世主として彼が遂に対峙した『ワンネス』の正体とは?
そして〈完璧な世界(パーフェクト・ワールド)〉とは一体――?
英語と京都と運命の物語、ここに完結。

傑作なのか駄作なのか。
終わっているのか終わってないのか。
自分では判断が付きませんでした。
ゆえに、☆評価もしていません。
ひとつ言えるのは、この作品は完膚なきまでに流水大説だし、それ以上でもそれ以下でもない、ということ。
自分の浅い読書経験では、その結論を出すのが精一杯でした。
自分はまだまだ、清涼院流水という存在をこれっぽちも理解できていないのだなぁ、と読み終わった後感じました。
修行が足りん。


英語と京都に詳しくなれる、という試みは非常に鮮烈で、一年間でおおむね達成できていたと個人的には思います。
でもま、「英語『が』しゃべれるようになる」と「英語『で』しゃべれるようになる」は違うよね、とか思いました。『パーフェクト・ワールド』で「英語自体をしゃべれる」ようにはなるかもしれないけど、それは英会話の第一歩で、言いたいことをばっちり「英語『で』しゃべれる」ようになることが大切かな、と思いました。


一年間リアルタイムで執筆していく、まったく空っぽの状態で執筆していく、というのは作家としての力量を試せるとても意義のある企画だったと思います。ですが…『英語』と『京都』の検証はあらかじめやっておくと良かったんじゃないかな、と思う。さすがに「英語の検証」+「京都の検証」+「物語の執筆」を同時にやっていくのは無理がありすぎる。英語と京都は最初に調べきっておいて、あとはそれを取り込みつつ純粋に物語を執筆していけば、さらに面白い作品になっていたのではないかと。そこが残念です。


結局、「レイ」の父が何者だったのかとか、エースの両親がまったく言及されていなかったりとか…。他の十二人の人たちのその後とか。色々気になるところも多い結末でした。『パンドラ』で御大が書くという短編が、『パーフェクト・ワールド』のアフターストーリーだといいなぁ*1


とにもかくにも、流水師、まことにお疲れ様でした。一年間楽しませてもらいました。
来年のご活躍も楽しみにしております。Thank you!

*1:サイン会で訊けば良かった