「ラノベ2008」と「キムラ弁護士」

今日は読んだものが多かったので少し整理して書こうと思います。


このライトノベルがすごい!2008

このライトノベルがすごい!2008

毎年恒例。
自分はそこまでの冊数を読んでいないにもかかわらず、今年に入って読んだラノベの半分以上がベスト20にランクインされていて驚いた。自分の感性が鋭いと見るべきか、それとも限りなく平均に近い好みをしているから自然とこのような結果になったのか。前者にしておくと自分に優しいな。
まーちゃんはヤンデレブームとやらの波に乗っかって、結構な人気っぷりを発揮しているよう。余談だけど、ネットでみーまーの感想を調べたとき予想以上に「病んでいる」と漏らしている人が多くて少し驚いた。自分も多少はそのような感想を抱いたが、ほとんど別段なんともなくただ面白いなぁと思いながら読み終えてしまったので。戯言シリーズや鏡家シリーズに若い頃から慣れ親しみすぎて、ダークなジャンルに耐性ができてしまったのだろうか。昔は虫も殺せないピュアな少年だったのになぁ。
西尾作品が多数名を連ねているのはさすがだと思った。よく視ると戦場ヶ原ひたぎさんも、女性キャラ部門で11位にランクインしている。


キムラ弁護士、ミステリーにケンカを売る

キムラ弁護士、ミステリーにケンカを売る

「ミステリーを読む人の気が知れない」という持論を持つ木村晋介が、本の雑誌社の顧問であり親友でもある目黒氏に、「それはおまえがミステリを読んだことがないからだろ」と突っ込まれ、「じゃあミステリーがどれだけ欠陥に溢れているか証明してやるよ」と筆を取った本の雑誌連載コラムの単行本化。
けんかを売る、といってもミステリー*1に見受けられる破綻箇所、ミスなどに突っ込みをいれ、自分の専門分野でもある法律・裁判を基に物語を検証していくという、どちらかといえば「金田一少年の推理ミス」などの研究本のテイストに近い。おおざっぱに言ってしまえば、空想科学読本のミステリーバージョンのようなもの
小説の完璧さに打ちのめされ完敗宣言をしている回も割と多いことだし、人並みの寛容さがある人なら笑って楽しめるだろう。
でも、「ケンカを売る」という言葉通り、完全に敵意を出しながら書いていることもあり、また、破綻箇所が多い作品は徹底的にこき下ろしているため、熱心なファンからはおそらく攻撃を食らうだろうなぁ、と思う。
個人的には、新本格ミステリの類にはほとんど手を出していないのが気になった。最近のミステリ作品に名を連ねているものも「容疑者Xの献身」とか「ダ・ヴィンチ・コード」など、微妙に新本格からは外れているやつばっかりだし。でもまぁ、木村さんは失礼ながら結構なお歳だし、彼の世代では新本格以降のミステリはイマイチ掴みにくいのかもなぁとも思った。
蛇足だが、沢野ひとし氏のイラストが大変気になった。お世辞にも取り上げている作品と関係があるとは言いがたいイラストばかりで苦笑してしまう。最も笑ったのは、「ダ・ヴィンチ・コード」の回のイラスト。巨大な天丼*2が描かれていた。木村さんの文の内容と関係があるのかも、と思って熟読してみたが、天丼にかかわりのある言葉は何一つなかった。たぶん沢野さん、そのときなんとなく天丼が食べたい気分だったのだろう。
きっと人並みに苦労しているはずだ、なんらかの悩みを背負いながら彼も生きているはずだ、と必死に言い聞かせながらも、どうしても「楽な仕事で良いなぁ」という考えが浮かんできて仕方がありませんでした。

*1:と、言いながら、後半は恋愛小説やベストセラー作品もケンカの対象にしているけど。

*2:らしきもの