マガジンSPECIAL vol.12

・友100 高本ヨネコ @マガジンSPECIAL

主人公は霊が見える体質の中学生。ある日、最近自殺したクラスメイトの女の子・箱崎の霊に取り憑かれる。霊能者だった彼女は生前、この学校に留まっている女の霊たち100人を、友達を記録するノート「友百」に記録していた。幽霊同士はお互いの姿を見ることが出来ない。死後、友達であった幽霊たちに会いたくなった彼女は、霊を見ることが出来る彼に助けを求めたのだった。未練の断ち切れない箱崎の凄みに押され、ことなかれ主義の主人公も渋々友達探しを始めるが…。

かなりまじめに書きました。長文で、見る人が見れば「お前何様だよ」という文章になっていますw 少々辛口。でもそれだけでは終わってません。

ホラー系の読みきり漫画ということで、読んでみました。
結論から言うと、けっこう難の多い作品だと思います。
キャラの性格も展開に沿ってかなりブレていて安定していないように感じました。ストーリーも一応ホラーとしての主軸はあるものの、シリアスにしたりコメディが入ったり、そのどちらもがイマイチ振り切れず中途半端に終わっていたように思います。ボリュームもやや少なめなのか、最後、幽霊たちが彼女をあっさり許していたりするなど、なんとなくわだかまりが残る終わり方でした。箱崎と30年前自殺した女生徒が入れ替わっていたという終盤の真相も少し伏線が弱かったと思います。途中に主人公と箱崎の回想シーンを挟んでおけばよかったと思うんですが。それにやはり主人公が地味過ぎます。はっきり言って魅力を感じませんでした。


…と、問題は色々あるこの作品「友100」ですが、同時に視るべき点も非常に多かったと思います。
まず、主人公の能力が本当に『霊が視える』だけで、そのほかに何の特殊能力もないところが新しいです。能力も何もなく、言葉とハッタリだけで霊を丸め込むところは実に面白かったです。少年漫画にこの設定はかなり異端で挑戦的。
また、登場する霊たちも実にキャラが立ちまくりで魅力的に感じました。ピアノを引く少女や、13階段の少女なんか最高。お面つけて後ろ向きの霊もいい。彼らにもっと出番を与えて欲しかった。
それに、『キャラ』が根幹を流れるテーマになってるところも興味深い。『キャラが立ってて損なことはないでしょう?』と言う彼女に、終盤、主人公が『君と箱崎のキャラがどうも噛み合わないんだよね』と返す演出はなかなか逸脱でした。
登場人物たちが(とくに箱崎)、生についてあまりこだわりを持っておらず、死を割りと簡単に受け入れちゃってるところも、潔くて面白く感じました。
絵柄も、そこまで巧くはありませんが、割と好みです。


このままでは、やはり連載に行くには少し難しいと思いますが、構成し直して修正を加えれば活きてくる作品だと思います。
まず、主人公を少しでもインパクトに残るようにしたほうが良いです。名前も覚えてませんもん、このとおり。外見を少し個性的にするとか、あるいは性格をもっと極端にするとか(思いつき例・いつもは幽霊大嫌いの超絶ヘタレ)、何か魅力を作ったらいいと思います。
あとは、いまいち振り切れていないストーリーなので、霊を丸め込むときにもっとロジックを利かせてミステリの要素を強くするなど、ストーリーにももう少し魅力を追加するべきではないかと。
構成もわかりづらいところがあるので、すっきりまとめなおすとわかりやすくなると思いました。


これ自体はそこまで面白くありませんでしたが、魅力的な要素はたくさんあるので、巧く料理しなおせば格段に評価されるようになると思います。高本ヨネコ。覚えました。次回作に期待したいです。応援してます。