天元突破!グレンオンナ!この後すぐ!

コスプレ幽霊 紅蓮女(ぐれんオンナ) (『このミス』大賞シリーズ)

コスプレ幽霊 紅蓮女(ぐれんオンナ) (『このミス』大賞シリーズ)

辺倉史代は小学校の教師。自分の仕事に愛着も持てず、友人、恋人もいない孤独で暗い三十路の女。そんな人付き合いが苦手で内気な彼女の唯一の生きがいは、巷で噂される都市伝説『紅蓮女』に変身し、人々を驚かすこと。技巧を重ねた特殊メイクを施し、特注の衣装を身に纏い、『脅人』となった彼女は夜な夜な外を徘徊する。しかし、そんな彼女が現れる場所で怪事件が次々と立ちふさがり…。
口裂け女。紅蓮女es(フレイム・レイディーズ)。刃業の鏡。苦色の手紙。電話男。
自分の最後のよりどころを守るため、彼女は“紅蓮の炎”を武器に、『都市伝説』に戦いを挑む。

最初に、タイトルゴメン。
突発的に思いついてしまったんです。すいません…。
非常に鬱な女性が主人公。
『日常に生きる意味を見出せず、変装することに快楽を感じるダメ教師』という設定が山田玲司版のゼブラーマンと激しくダブった。
辺倉状態の彼女も、悲しいジレンマになんとなく共鳴するものを感じるが、やっぱり読んでて楽しいのは『紅蓮女』に変身した彼女の活躍だろうか。『平成最強の化け物』のプライドを守るため、都市伝説たちに勇気を振り絞って戦う姿が痛快。戦うといっても要するに化かしあいで、どちらが相手を恐怖させるか、という力比べだが、これが面白いんだ*1。怪事件を暴く、というところは『TRICK』に近いものがあるかもしれない。
短編5つで構成されているが、全編を通して仕掛けられている伏線なんかもあったりして、そこそこ読ませる。ありがちなハッピーエンドに終始しなかったところも好感が持てた*2
不満点を言うなら、結末が上甲作品の既刊を読んでないと反応しづらいところが惜しかった。初めて読んだ人には少し辛い。
サブタイトルのB級なセンスはすごく良かった。
あと、ところどころに言葉遊びが見え隠れしていた。センスは、脱力な流水のちょっと上って感じ。エピローグのアレには力が抜けた。「わ、わーお…」と思わずつぶやいてしまいました。ははは〜。

*1:実際に化かしあいをしたのは最初の2つだけだったけど

*2:少し悲しかったけど