夜道には黒マントを翻し 秘密探偵が通る

キカイ探偵 (バーズコミックス)

キカイ探偵 (バーズコミックス)

「昭和恋々幻燈館」にほだされて、読み返してみました。
 作者がとにかく大正を愛しているのがよく伝わってくる。ごてごてしくも単純体なタッチ、やや説明の足りない展開もあるストーリー、なにより、大正SFと江戸川乱歩を代表する古きよき探偵物語が融合していて、まさに大正度120%な漫画。サブタイも「怪人燈」やら「黒雨M」やら「骨董の鬼の人外魔境綺談」やら、昔の怪奇小説みたいなのばっかりで、懐古趣味全開です。それでいて、キャラクタのファッションは古さと同時に近未来的なセンスも取り入られたりしていて只のなつかし漫画で終わらせないという作者の意気込みも伝わってくる。少年探偵団シリーズが好きな人はゼヒ。冷静だけど嫉妬深いエログロカストリ好きの盲目少女人見知りの人形師唯我独尊のお嬢様彼女をヤバイぐらい慕う百合妹など、萌えな美少女も多数登場するので美少女好きにもオススメです。
 コミックバーズ不定期に連載されているのでなかなか単行本にはまとまらないのが玉に瑕。このペースでいくとたぶん2巻が発売されるのは2008年の秋か冬ぐらいになるのでは?……先は長いなあ。とりあえず、来月号で最新作「昏睡魔人と死体少女」が掲載されるので、それだけでも立ち読みしてみてはいかがでしょう?
 ちなみに、作者は“森ふみ”という別名義で講談社シリウス」に怪奇漫画を時々描いています。画のタッチが気に入った方はこちらもどうぞ↓
怪奇宴 現の巻 (シリウスKC)

怪奇宴 現の巻 (シリウスKC)