わかつきひかるという作家。

AKUMAで少女 (HJ文庫)

AKUMAで少女 (HJ文庫)

 ラブコメ
 Gen9はラブコメがあんまり好きじゃありません。
 にも関わらず、今回わざわざ買いに行ったのにはわけがあります。


 この小説を書いたわかつきひかるさんは、普段はポルノ小説を書いていらっしゃる女性作家です。
 官能小説の有名会社・フランス書院美少女文庫で20冊以上も執筆を続けてきたプロ作家さんです。
 Gen9が読んだ何冊かのポルノ小説の中でもわかつきひかるさんは、印象に残ってる作家でした。(リアルな性描写や独特の表現技法、予想を裏切る展開……、ん、まあ詳しいことはココでは控えます)
 で、そのわかつきさんが、この度一般のライトノベルに参戦されたらしい、ということで手にとって見たわけであります。


 で、感想ですが、普通にとっても面白い作品でした!ブコメ特有のお決まりパターンは否めませんが、明るい雰囲気のイイ作品でした。主人公と勝気なヒロインの魂が入れ替わるというこれまたよくありがちなストーリーなのですが、使い古した感が全然ありません。ポルノ作家の経験を生かしてか、少々エロめの内容ですが、じゅーぶんラノベの範囲内です。


 あとがきを読むと、わかつきさんはかつてはラノベ作家になりたかったらしく、有名レーベルに投稿してたそうです。ポルノ作家となった後も、プロットを出版社に持ち込んだりしていたそうなのですが、「ポルノ作家」という肩書きが足枷になり、差別を感じたとか。苦労が忍ばれます。しかし、彼女はポルノ作家としての自分に誇りを持っておられ、ラノベで書くと決まったときも、わかつきひかる名義で出すことを譲らなかったそうです。


 私はポルノを書いていることを、悔やむ気持ちも恥じる気持ちもありません。美少女文庫は依頼が来る限り書き続けていくつもりです。それがマイナスだと評価されることを知った今でも、この気持ちは変わりません。――あとがきより


 ポルノ小説家が一般の小説家として小説を書いたり、元AV女優の方が本当の役者の世界でやっていく、というのはスッゴイ風当たりが強いものでしょう。なんとかデビューできたあとも、普通の方の倍々の苦労がつきものだろうと思います。
 それを覚悟で参戦された、わかつきひかるさんのラノベ作家としての活躍。
 Gen9は一読者として、心から応援したいと思います。