『ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟』 上遠野浩平

「そうだね、ぼくにはわからないだろうね。殺すだけのぼくは、とても不寛容で──心が狭いからね」

彼女の敵は世界。すべてに怒り、すべてを憎み、すべてを燃やす。
生まれながらにして、やり場がなく、理由もない怒りを抱え続ける杉乃浦春海。しかし、そんな彼女の炎を、打ち止めさせることのできる存在が、たった一つだけあった。
巨大なシステムが支配する世界の謎に挑もうとする少年と、世界に食い込むために謎を利用とする人々。彼女たちが世界の敵と認識されたとき、死神はどのような裁きを下すのか?


前作を読んだときも、一年ぶりで驚いたりしたものですが、読書感想を見てみると、またしても一年ぶりのブギーポップ。二年以上も積んでいたことになり、また背景設定やキャラクタを忘れ去っていましたが、あまり気にすることなく読んでいけました。
ブギーポップシリーズでよく言われるのが、後期になるに従って、初期ほどの素晴らしさはないってことですが、さて、どうなんでしょうね。自分は、初期と同じようなテンションで、同じように面白さを感じ、同じように読み終えました。*1やはり、上遠野さんの思春期の言い表せない、モニョモニョとした感情を描くのが上手い。中学の頃、自分が一心不乱に読みあさっていたのも頷けます。体験したことがないのに、この感情は知っている。先の見えないまま、ずっと続いてしまっていることは否めないのですが、時々読みたくなる何かが、やっぱりブギーポップにはありますね。
残酷号事件』発売も間近であることですし、次なる沈黙ピラミッドも、近いうちに読みたいと思います。
しかし…あの人のかませ犬っぷりには泣いてしまったw 最初はめっちゃ大きく出てきてるのに。

*1:と言うか、自分が一番好きなブギーポップは『ホーリィ&ゴースト』だったりするし