『ぼくらの先生!』 はやみねかおる

ぼくらの先生!

ぼくらの先生!

教師は、二十四時間、教師じゃないといけない。寝ているときも教師なんだ。

数十年の教師生活を終え、奥さんと二人で静かに暮らし始めた『わたし』。
現役時代は、決して仕事を家庭に持ち込むことがなかった『わたし』でしたが、定年退職し、ゆったりと過ごせるようになったことで、奥さんにかつての学校での想い出を懐かしみながら話すようになりました。
けれど、長く学校に勤めていると、どうにも理解できない、不思議な出来事と遭遇することもあったのです…。
子ども達とのふれあいの中で生まれた、数々のちょっとした謎を優しく解き明かしていく、これぞはやみねミステリ。


久々のはやみねさんノンシリーズ長編。構想自体は十年も前からあったそうで、ようやくお目見えとなりました。
いわゆる『日常の謎』なのですが、元教師だったはやみねさんの経験が、大きく生かされていると思いました。とは言え、押し付けがましいメッセージが氾濫した物語ではなく、彼の先生としての子ども達への眼差しが、そのままお話の中に閉じこめられてるようで。分量もたいしたことはなく、すぐに読み終えてしまうのですが、じんわり暖かくなれる、優しいミステリに仕上がっていました。
単に終わりへと向かうわけではない、希望に溢れたエピローグにも、ぐっときました。はやみね初心者にもオススメな良作です。