『ラブコメ今昔』 有川浩
- 作者: 有川浩,徒花スクモ
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/07/01
- メディア: 単行本
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「溶けた」
鬼上官は逃げ続ける。妻とのナレソメを記事にしようとする、元気印の女広報官から。
彼女は年下彼氏の帰港を待ち続ける。HDになんとかレンジャーだのかんとかライダーだのを録画しながら。
女たらし(?)の広報官はひた走る。あの娘の辛い姿を見たくなかったから。
モテるパイロットの妻は悩み続ける。あからさまな宣戦布告を真に受けて。
冴えない自衛官は恋をする。そのお相手はよりにもよって上官の愛娘で。
そして、元気印の女広報官は追いかける。自分が恋をした写真の主を求めて。
…自衛官だって、恋もする。自衛隊ベタ甘ラブコメシリーズ、第二弾!
野生時代に掲載された短編をまとめた単行本。基本コンセプトである、自衛官のベタ甘なラブストーリー、というのは『クジラの彼』と変わっていません。冴えない陸上自衛官から、ブルーインパルスのパイロット、オタクな海上自衛官から、堅物な鬼上官まで。様々な年代、様々な役職、様々なラブが、百花繚乱に描かれています。アクティブな取材に基づいた、臨場感ある語り口も相変わらずで、最初から最後まで、不安になることなく安心して楽しめます。
一番ニヤニヤしたのは、女たらし広報官*1の話だと思うんですが、同じくらい面白かったのは、ブルーインパルスの話でしょうか。自分は自衛隊に関してさほど詳しくないので、女性にモテる部隊があるって話も新鮮だったのですが、なによりストーカーじみた女ファンもいる、というのが、個人的には興味深かったです。襟にこっそりメモを忍ばせる、とか…。男の自分でも本気で鳥肌が立ちました。
メディアでは実直なイメージしかない自衛隊の方々ですが、ちょっと見てみればこの作品のモデルになったような、血の通った気の良い人たちばかりだっていうのが、なんだかとてもほっこりします。自分の友人にも、自衛隊に入ったヤツがいるので、この事実はほんとに安心させられますなぁ…。続刊も楽しみです。
*1:ごめんなさいw