映画「大日本人」


松本人志さんが監督したことで話題になった映画。
『獣』なる怪獣と戦う正義の巨人『大日本人』に変身する男・大佐藤の日常をドキュメンタリー形式で描いた作品。
途中までは、世間の風当たりも強く、妻子との別居問題、跡取りの問題、四代目(祖父)の介護など悩みも多い中戦っていく大佐藤の姿が、悲哀とか滑稽さをもって映し出されていくのですが、終盤「ここからは実写でご覧ください」のテロップと共に、そういう深い世界が一瞬でぶちこわされていく光景に呆然とさせられました。途中まではヒーローの苦悩を描いたパロディとして、普通に楽しめて見ていただけに、良くも悪くもあっけにとられました。
一緒に観ていた父は「失敗作だな」の一言で片づけていましたが、自分は松本さんがあのラストに何らかの意図を込めようとしたのだと思えてしかたありません。ただ、それが何なのかはよくわかんないんですけど。「自分は映画監督じゃなく芸人なんだ」という一種の敗北宣言かもしれないし、「色々やっても、アメリカの圧倒的な強大さの前には日本も無力だ」という皮肉かもしれないし、それら諸々をすべて含めた感情の寄せ集めかもしれない。またひょっとすると、そういう深読みは何も関係なく「誰もがあっけにとられるような結末に仕上げたかった」、単にそれだけかもしれない。
松本さんは結局どういう想いで、あのラストを撮りあげたのか、それだけを知りたくて仕方ありませんでした。教えて偉い人。


大日本人 通常盤 [DVD]

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