「赤マルジャンプ 2008WINTER」

・タビネコ 斉藤修

惑星全ての人間が『呼び声』と呼ばれる奇妙な病気に侵された世界。『ネコ科』の『呼び声』に侵された元・人間、タビネコは『植物界』に侵されたエリアへと足を踏み入れた。そこにいたのはたった一人の少女。住人すべてが植物へと変貌してしまっているにも関わらず、彼女だけは発症を免れていた。医者であるタビネコは彼女に事情を聞こうとするが、少女は彼の好意を邪険につっぱね続ける…。

かつて生物分類の指標であった『界・門・網・目・科・属・種』にそって、全ての人間がなんらかの生物に変貌する病気に侵されている、という設定が鮮烈すぎる。その病気に対抗する唯一の手段が、彼女の過去の謎と共に明らかにされる展開もうまい。作品のストーリー自体は少しありきたりな気もしたけど、純粋にこの世界観の話をもっと読みたくなった。連載化に期待したい。

・魑魅魍魎有限少年 川井十三

あらすじ紹介はちと省略。
下手とも独特とも取れる濃い絵柄がまず目に付いた。主人公は体の中に妖怪を憑りつかせていて、その妖怪のチカラを使って日本全ての妖怪を体に取り込もうとしている、というストーリー。マイナーな妖怪(見上げ入道とか)を出してくるのは妖怪好きとしては面白かったけど、少年漫画然、という印象がぬぐえない作品でした。キャラクタにあんまり中身を感じなかった気もする。絵柄は好きになれそうなんだけど。うーむ。

・100ドルは安すぎる 山本かずね

推理屋と呼ばれる、依頼に応じて様々な謎を解いてみせる職業が存在する時代。賞金稼ぎの●●*1は、18歳にしてバーのマスターを営んでいる推理屋の少年の元を訪れる。●●が彼に依頼したのは、『−100ドル』の懸賞金が付いた不思議な賞金首の謎だった…。

WJに十二傑賞受賞作品として紹介されたときから読みたくて仕方がなかった作品。
保安官などが存在するウエスタンな時代が舞台。
すこし雑だけど、まるっこい味わいのある絵柄と、全編バー内の会話という構成がしっかりマッチしていて、少年漫画でありながらちょっと他にはない落ち着いた雰囲気をかもし出してる不思議な作品。いわゆる推理モノで『−100ドル』という謎が作品の全てなのだけど、まったく飽きさせず40数ページに渡ってぐいぐい引き込んでくれる。終盤、時系列が同時進行で語られる構成には少し面食らったけど、それが謎の最終回答の驚きに至るまでをしっかり演出してくれていてとても面白かった。このくらいの質の謎を次々出していけるなら、ゼヒ連載に進んで欲しいと個人的には思う。でも、この雰囲気は『週刊』には合わないかなぁ。
あと、話の合間合間に、推理屋の出したカクテルを解説するのもいいですね。好きだな、こういう雰囲気の漫画。

そういえば

杉田尚先生の新作、全然読んでないや。しかし、杉田先生は本当に学園バトルものが好きだなあ。

*1:ゴメン名前覚えてなかった