史上最大の馬鹿騒ぎ!

恋人の出所を待ちわびてシカゴに向かった『泥棒』と、それについていくことにした『不良集団』。
『不死者』を殺すために刑務所内で暴れ始める『殺人狂』と、思惑を秘める『カモッリスタ』。
少しずつ狂い始めている幼き『爆薬使い』と、それをとめることができない『吸血鬼』たち。
他人の迷惑を省みず、殺し合いという名の喧嘩を楽しむ『青服』と『赤目』。
…そして、アメリカ全土を混乱に陥れることになる、シカゴで発生した最悪の事件。
マフィア、カモッラ、泥棒、不良、警察、情報屋、研究者、殺人狂、破壊魔、ホムンクルス、そして不死者。
二つの舞台の上に数多の役者たちが揃うとき、馬鹿騒ぎは一気に終局へと加速を始める。
様々な思惑を巻き込み、狂演を続ける彼らの命運は?
そして、彼らの運命を影で操ろうとする不気味な存在の正体とは?
バッカーノ!シリーズ第6弾、これをもっての完結編。

ああ、楽しい。とても楽しい話をしよう。
3分冊というかなりのボリュームでありながら、速いテンポでさくさく読み進めることができた。むしろ読み終わってから「え、もうおしまいかよ?」と思ったくらい。これだけの厚さなのにちっとも苦にならなかった。
スケールも大きいし、登場人物の数も史上最多、お祭り騒ぎと呼ぶのがふさわしい騒がしく楽しい話だった。今まであまり描かれなかった内面が今回深く描写されたフィーロや、再登場のラッド・ルッソ、実は×××だったリカルドや狂気に苦しむレイルなど、いつものことながら個性豊かな登場人物が目白押し。とくにね、楽しいのはやっぱりグラハム・スペクターね!クレアが今回あんま出番が無かったのは少しさびしかったけど、グラハムが登場したので水に流しましょう。ラッドやクレアと違って暴走しっぱなしなわけじゃなく、しっかりツッコミを入れてくれる人がいるのもいいですね*1。今回言動が楽しい人はダントツでグラハムでした。クリスと一緒にまた出てきてね。
ちなみにグラハム以外で今回好きになったキャラはリーザ*2レイル*3ジャグジー一行の中にいるヒャッハアの人*4です。フィーロとラッドのコンビもなんだかんだ言っていい感じで好きでした。
☆が4つなのは、1933のときと同じでいまいち収束し切れてないかな、と思ったからです。1930年代編はまだまだ続くようですし、これだけで話が完結するわけではないのでしょう。最初の無印バッカーノ!は一冊だけで綺麗に美しく完結していて素晴らしかったので文句なしの五つ星だったんですが…。シリーズ物って難しいですよね。あと、アイザック&ミリアの掛けあいが少なかったのでそれもかな〜?
あーそれにしても、『バッカーノ!』に出てくる人って心底憎めない人たちばっかりなんですよねぇ。『吸血鬼』たちも人造人間としての悲しみを抱えてるし、ヒューイも自分自身を実験体にしてるほど哀しく狂ってるし*5、ルネたちは完璧に悪党なのに会話が楽しくて憎めないし*6、1934には登場してないけどダラスだって、人間のクズと言い切られてるにもかかわらず、妹だけは大事にしてるからなんか憎みきれないし…。まったく好きになれなかったキャラって、髭豚とグスターヴォぐらいのもんではないでしょうか。あとグースとか。『探偵も犯人も目撃者も被害者も、みんなみんな悲しくて可愛くてかっこいいなんてアンフェアです!』と言ったところですねー…。やれやれ。困った小説だなぁ*7
あと、あとがきでの『ヴァンプのキャラクター設定がそろそろ100人を越えそう』『ネタが溜まりすぎて、キャラやネタの消費量より供給量の方が多くなっている』という成田先生の発言に「……こいつ、バケモノか?」と思ったことは内緒です。
さ、バッカーノ!も残すは1705と2002か。今年中には追いつけそうだ。

1934とはあんま関係ないけども。

読み終わった後久々にアニメ版第一話を見たら、いろいろ面白いところをまた発見しました。
・グスターヴォの発言に対するバルトロの微笑みの真意がわかった。
・1933のシーンをよく見るとぶっ倒れたダラスがいて吹いた。
・さらによく見るとメガネ&チャイナ服の「ヒャッハア」の人らしき人物もいる。
・さらによく見ても、なぜかチックさんがいない;
・不良たちが列車の荷物を回収してるシーン、よく耳を澄ますとまたしても「ヒャッハア*8」の人がいる。
あと、思ったんですけど、アニメDVD限定3話は、ひょっとして回送編をやってくれるんですかね!?1934のグラハムがシャーネをさらっただのクレアとやりあっただの言ってたし、で、限定3話にグラハムは登場するみたいだし。時系列的に見て可能性は高そうです。期待してるよ、アニメスタッフ!

*1:「悲しい話をしよう…」「聞いてくれる人がいるのを前提で喋ってませんか?」

*2:どんなツンデレだこの人

*3:リカルドやチェスと一緒に可愛いトリオを結成してください

*4:前からセリフだけで、気にはなってたんですけど。ひゃっはあとヒャッハアがいるんですね

*5:この部分は刀語のとがめと近いものがある

*6:「しっかりしてくださいよ部長」「頼みますよ部長」「脱げよ部長」

*7:ニヤニヤ

*8:「ひゃっはあ」かもしらんけど