THE WORLD IS NOT MADE OUT OF OPENED ROOMS.

世界は密室でできている。 (講談社文庫)

世界は密室でできている。 (講談社文庫)

十五歳の僕とルンババは家も隣の親友同士。中三の修学旅行先、僕らは東京でちょっとおかしな姉妹、椿と榎に出会う。それからが、僕と名探偵ルンババの冒険の始まりだった。高校に入学し、大学受験。青春をすごす僕らの前にことごとく立ちふさがる密室殺人事件の数々。それらの謎を解き明かしながら、僕らは少しずつ大人へと成長していく。講談社ノベルス20周年企画“密室本”にして、新青春エンターティメント。

おお、これは面白かった。
Gen9は舞城作品が結構スキで、今までも何冊か読んでいるのだけど、これが今のところのマイ・フェイバリット・舞城かも。
中学生の男の子が語り部なのだが、こいつの性格と舞城の文体が巧いこと合致していてとても読みやすかった。会話文やら思考やら茶化すようなギャグやら下い話やら、それらがごちゃごちゃになって何行も続く“圧倒的文圧”が主人公の性質に実にあっている。案外、中学生の頭ん中をそのまま文章にしようとすると、舞城のような文体になるかもしれない。読者を置いてけぼりにするようなスピード感ある謎解きも健在で、舞城ミステリとしても申し分ない。読後感もさわやかで、舞城流の“推理×青春”小説になっていた。けっこう薄めなので、舞城未体験者にもオススメできる。
舞城のイラストもたっぷり見れるし、良作でした。ごちそうさま。