小説と漫画と男と女

随筆もどきなものをひとつ。
長文の上、書いてみたらダメな上遠野浩平みたいな文章になったので、収納しときます。物好きな人だけどうぞ。

みなさんは、とある作家が自分の想像していた性別でなくて、驚いたことがないだろうか?
わりとよくあると思う。
ちなみに、Gen9も何度かこういう経験をしていて、「金田一少年の事件簿」のさとうふみやや、「ハガレン」の荒川弘が女性だと知ったときは、かなり驚いた。
いや、さとうふみやはまだいい。
荒川弘はちょっと信じられなかった。
作風も絵柄も自身の語り口も男くさくて、完全に男性だと思っていた。
逆に、女性だと思っていて男性だったパターンだと、有栖川有栖とか秦建日子なんかは驚いた。
どっちも著作、読んだことなかったし。
特に秦建日子は、名前の見た目で完全に女だと思っていて、読み方が「はた・たけひこ」なることを知ったときは「叙述トリック!?*1」と思ったものだ。


Gen9が時代ズレしているのかもしれないけど、それぐらい、小説やマンガの世界じゃ、男性女性の違いなど些細なことにすぎなくなってきたのだろう。
というか、それがもう当たり前か。


以前、Gen9が高校生だったころ、自分の高校にDDV(デート・ドメスティック・バイオレンス)防止の講師が来たことがあった。
うちの高校も、心理科の医者やらベネッセの職員やら*2、月に一回ぐらいの頻度で校外の講師を呼んでは体育館の中で話を聞かされたものだけど、まあ、それはいいですよ。
そのDDVの講師は50代ぐらいのおばちゃんだったのだが、話の途中途中で、男性と女性では感じ方が違う、お互いのことを考えないといけない、とかそんなニュアンスのことを言っていた。
それはそうだと思う。そこに異論はない。
ところがおばちゃんは、男性と女性の感性の違いを示すために、スライドにあるものを映した。
「ブリーチ」の主人公、黒崎一護の画と、「NANA」に登場する男性の画だった。
おばちゃんはこの二つを少年漫画と少女漫画の代表作とした上で、少年が好むものと少女が好むものでは、これほどに差があるのです、と高らかに述べていた。
僕は、これには辟易した。


少年漫画の読者=少年、少女漫画の読者=少女、という図式はもう何十年以上も昔の話であることは誰だって知っている。
例えば、「リボーン」や「銀魂」、さらには「おおきく振りかぶって」、などは女性読者が男性読者を大きく上回っている。
それに少女漫画のヒット作といわれ最近話題になった「のだめカンタービレ」や「ハチミツとクローバー」は男性読者も数多い。
ブリーチが好きな女性やNANAを愛読している男性だって決して少なくはないだろう。
少年漫画と少女漫画で少年と少女の感性の違いをあらわそうなど、ずいぶんナンセンスだなぁ、と呆れた。
だいたい、チョイスが極端だ。同じ少年漫画でももっとかわいいタッチのものはたくさんあるし、少女漫画だって、いかにも少女漫画!という感じではない絵柄も最近は多い。
そんな状況の中で、最も少年漫画らしい画と最も少女漫画らしい画を比較に出してきてもまったく参考にならない。
フェアじゃない。
少年少女の感性をくっきり分けるのに、漫画と言う題材は不適応なのだ。


……と、いうようなことを、集会のあと必ず書かせられる感想アンケートにケチョンケチョンに書いてやった。
受け取る先生の目が随分冷たかった。怒られはしなかったけど。
大人げなかったかなぁとも思う*3
でも正真正銘大人じゃなかったしな、とも思う。


男性女性の違いはこれからも更にどうでもよい、些細なことになっていくのだろうなーとか、思ったりする。
今だって、この文章書いてるGen9が男か女かなんて、誰にもわかんないし。
でも男女平等を履き違えてる向きもある今の状況はヤダなぁ。
看護婦が看護師とか、スチュワーデスがキャビンアテンダントとか。何か間違ってるよね、そういうのって。
あーもう何書きたいのかわかんなくなってきた。
おまけに、これぐらいの内容、とっくに何万回も誰かが書いてるような気がするし。
というわけで、あとは香月日輪著「地獄堂霊界通信2vol.1」を読んで補完してください。
児童書だけど、なかなか読ませる内容ですよ。


ちなみに、今男か女かわかんないのは、イラストレーターのx6suke氏。公式サイトでは一人称が「僕」だけど、喋り方が天然少女っぽいし。FBSPの狂乱家族日記対談では架空のプロフィールとは言え「薄幸の美少女」って紹介されてたしなー。どっちなんだろう。誰か知ってる人がいたら教えてください。まぁ、些細なことだけど。

*1:たぶん違う

*2:この講演はひどかった。わざわざ休みを取って見に来ていた、中学教師である父も随分怒っていた

*3:オタク臭い考えだし