『世界の終わりの終わり』 佐藤友哉

世界の終わりの終わり

世界の終わりの終わり

世界が終わって、もう一度終わったその後は

講談社から作家デビューしたものの、全く小説が売れず編集者からクビを言い渡された「僕」。妹が事故死したその日から線路に囲まれたこの町から出られなくなった僕はせっかく叶えた夢を終わらせられ、フリーター生活に甘んじていた。誰とも会わず、脳内で緻密に組み立てられた「妹」と「影」と会話を取り続ける毎日。夢を終わらせられた僕は小説を書くため、そして復讐するために東京を目指すが…。これは世界の終わりの終わり。これで世界の終わりの終わり。これぞ世界の終わりの終わり。これが世界の終わりの終わり。これは…「僕」の再生の物語。

ファウストvol.1「ジェットストリームトークセッション」で超人計画と似ていると聞いてたので、読んでみると、なるほどそっくり。
「1000と小説のバックベアード」が「作家・佐藤友哉」、「灰色のダイエットコカコーラ」が「人間・佐藤友哉」なら、この「世界の終わりの終わり」はさしずめ佐藤友哉と言ったところだろうか。自分の作家性でも人間性でもなく自分そのものをネタにして小説を書いてるっぽい。マジで次回作の出版が危ぶまれていた2002〜2004年辺りに雑誌「新現実」に連載されていた作品なので人事じゃない緊迫感がものすごい。三島由紀夫賞受賞から佐藤友哉に入ってきた人は、ゼヒこれでユヤタン暗黒時代を感じてください。
「1000と小説とバックベアード」「灰色のダイエットコカコーラ」「世界の終わりの終わり」は佐藤友哉を様々な角度から写し取った美しい三角形を構成している気がする。とか。ね。