『バカとテストと召還獣』 井上堅二

バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)

「忘れるなよ?大化の改新は無事故で起きたから――」
「うん」


「――625年だからな」

文月学園。この学校では、進級試験の成績結果によって、生徒たちをA〜Fにランク付けし、厳しくクラスが分けられる。秀才が集うAクラスでは、パソコン冷蔵庫冷暖房完備のいたれりつくせりな装備が施されているが、バカばかりが放り込まれるFクラスでは、腐った畳と壊れたちゃぶ台のみが設置されているのみ。天とゴミ溜めほどの開きもある扱いの違いに憤るFクラスの面々は、この現状を打破するため奮起。最高のAクラスを手に入れるため、学園が長き研究と偶然によって完成させた『試験召還獣』システムを使用した「対クラス戦争」の火蓋を切るに至るのだが…。
真性のバカ・吉井明久。元神童・坂本雄二。スケベ男子・土屋康太。勝ち気娘・島田美波。美少年(?)木下秀吉。そして秀才・姫路瑞樹。
6人のバカ+αが入り乱れる、熱血コメディ小説。


実は今月の初めには読み終わっていたんですが…えー何と言うか、なかなか感想を書くタイミングが……*1
というわけで、満を持しての『バカテス』でございます。
いや、評判は聞いていたんですが、自分の予想をはるかに上回るバカっぷりが炸裂しておりました。章ごとの頭に、Fクラスの面々による問題解答(主に瑞樹さんが模範解答、明久と康太がオチ)が掲載されているのですが、なんつーか、もう手のつけられないほどバカ。間違え方も実にレパートリーが豊富で、章頭だけぱらぱら見るだけでも楽しめます。
しかし、やはり見所は本編。試験の成績によって戦闘力が決まる『試験召還獣』を扱ったクラス戦争によって、Fクラスの面々が努力と奇策を繰り出しながら上位の生徒たちを次々打ち破っていく姿が、面白くかつ熱すぎます。というか、このシステムがうらやましすぎます。こいうものが自分の学生時代にもあったら、おそらく自分は今より格段に勉学に励んでいたことでしょう。勉強に目標を見出せない子供たちが増加している現在、文部科学省は一刻も早くこのシステムを完成させるべきだと思いました。
主人公の明久の目線による非常に軽い調子の語り口で、文章にもなんとなく粗が見えるというか、凡庸な感じもなきにしもあらず…なのですが、テンションの高いキャラクタたちが次々繰り出してくるギャグに、終始笑いっぱなしで、あんまり細かいコトを色々考えず、どんどこ読んでいくことが出来ました。
ところで、この作品、バトルありラブありのコメディ小説です。で、自分、バトル成分は存分に楽しめたのですが……恋愛模様がなぁ…。自分、ニブい主人公が、女の子と相思相愛なことに長いこと気づかないっつー展開が、ずるずる続いていくのって存外苦手なんですよ〜!!自分がラブコメをあまり読まないのも、こういう展開が好みじゃないのが理由でして…。あーっもうイライラする!早く気づけや明久!あそこまでやられりゃ普通はわかるだろ!ていうか、もしそうじゃないとしても、ひょっとしたら気があるかも…と妄想してしまうのが男子の常だろうが!!…これがラブコメの王道であることは十分理解してるんですが……あーもどかしい!!
というわけで、非常にイライラしてしょうがなかったので、☆1つ分引いての☆4つ評価です。でも、それでもめちゃめちゃ楽しめる小説であることは間違いありません。難しいことは何も考えず読んでいけるたぐいの小説なので、肩の力を抜いて楽しみたい方にうってつけだと思いました。

ところで、一番気に入ったキャラクタは、明久でも秀吉でもなく、ムッツリーニこと土屋康太だったりします。無口でエロで、しかしやるときゃばっちりキメてくれるという、なかなかにイカしたキャラクタ。しかも、わりと可愛い外見をしていて、最初イラストを見たとき女の子かと思いました。なんか、1巻を読んだだけなのに、彼のことが気に入ってしょうがありません。こ、これは…俗に言う一目惚れってヤツですか!?*2
世間の流れが秀吉萌えだろうと、自分は康太萌えを貫いてみせるぜ。

*1:わけのわからない言い訳

*2:アッー!