『刀語 第十二話 炎刀・銃』 西尾維新

刀語 第十二話 炎刀・銃 (エントウ・ジュウ) (講談社BOX)

刀語 第十二話 炎刀・銃 (エントウ・ジュウ) (講談社BOX)

刀語のおしまい、おしまい。

完成形変体刀十二本最後の一本、炎刀『銃』。
否定姫の腹心・左右田右衛門左衛門の持つその刀を前に、七花ととがめは最期の試練を迎えていた。
二丁の刀から放たれた『弾丸』に容赦なく貫かれたとがめの体。
七花は彼女を救い、炎刀『銃』を蒐集することはできるのか。
そして現れる、将軍に忠誠を誓う“家鳴将軍家御側人十一人衆”。
そしてそして、尾張城で将軍に謁見を果たした、否定姫の成就せんとする『野望』とは一体―?
対戦格刀剣花絵巻。世代交代時代劇。刀語の最終巻。

終わっちゃいましたね…。しみじみ。
※以下、いつものことながら、完全ネタバレです。いつも以上に乱文になってるので注意。


いや。西尾維新のことだから、ハッピーエンドで終わるとは思ってなかったけどさ。
まさか。よもや『失敗』で終わるなんて誰が想像したろうか。
ここまで。12ヶ月も読者を引っ張って振り回して、きっと全てに納得がいく、主人公二人に幸せのある、そんな結末を誰もが想像していたはずだ。
それが……これまでの苦労も水の泡、結果的にとがめも否定姫も野望を成就することは叶わず、失敗で全てが終わってしまうなんて。きっと読者の誰もが驚いてると思います。
きっと、怒る人も出てくるだろうなぁ。
「1年間付き合わせてこれがオチかよ!」なんていう人もいるだろうなぁ。
自分も、ちょっとはそう思ったし。
でも。
これ以外の終わりはきっとありえなかっただろう、となんか知らんけど納得してしまう自分がいる。
とがめの死は悲しいし、みもふたもないじゃん、という心残りもあるんだけど。
ああ自分はこのシリーズ追いかけてよかったなぁ、と清清しく読後の感傷に浸っている自分がいる。
誰がなんと言おうと、この物語にふさわしい、そうそうたる幕切れだった!、と自分は思う。
本当に、本当に楽しい1年間でした。
西尾維新先生、本当にお疲れ様でした。
これ以外に何も言うことはありません。
一年間、ありがとうございました。



その他見所。
・戦闘シーンは文句なし!とんでもない展開。まさかここにきて一章で十一人と戦うなんて思ってもみなかった。これまでのシリーズを閉めるにふさわしい、最終回にふさわしい、最高の盛り上がりを見せた闘いでした。
・竹さんのイラスト相当に神懸かっています。
・踊山の会話は本当に展開の先取りだったんだ…。緊迫シーンなのに思わず笑ってしまった(でもそのあとページをめくった最初のとがめのセリフで泣きそうになりました)。
・別れのシーンは本当に悲しかった…。
・最後の否定姫の格好が可愛かった。
・登場人物紹介のとがめと否定姫の技も可愛かった。
……じゃ、思わず目が潤んでしまったとがめさんの最期の言葉で〆としたいと思います。

「なあ――七花」
「わたしは自分勝手で自己中心的で、復讐のこと以外は何も考えることができず、死ななければ治らないような馬鹿で、そなたを散々道具扱いした、酷い、何の救いもないような、死んで当然の女だけれど――それでも」
「わたしはそなたに、惚れてもいいか?」