『みすてぃっく・あい』 一柳凪

みすてぃっく・あい(ガガガ文庫 い 3-1)

みすてぃっく・あい(ガガガ文庫 い 3-1)

『幻想百合ミステリー』というコピーに惹かれて読んでみた。
でも予想に反して百合百合してなくて少し意外。控えめな感じ。それよりむしろ用意周到に張り巡らされた伏線の数々に驚いた。薄めで子一時間ほどで読み終われそうなこの本にここまで伏線を入れ込めるものなのか。量が多いので、沖本部長のアレとか少し見当がついたものもありましたが、それにしたってすごい。ミステリ作家としての必須能力は申し分ないと言えるでしょう。しかもこれが初めて書いた小説なのかよちくしょう。
ひとつ不満を言えば、タイトルと内容があまり噛み合ってないように感じることか。編集者の一計なのかもしれませんが、それにしたってあの手書き風味のタイトルロゴはストーリーとどこかずれてる気がするんだよなぁ。原題の“虚数の庭”の方が深淵でとてもぴったりくる気がするのに。
ラノベにしては少し難しめの内容ですが、SF小説好きならあまり負担を感じることなく読めると思います。